UZU・UZUインタビュー16-2

えずこスペシャルコンサート
EZUKO SPECIAL CONCERT

2001年6月8日。coba(アコーディオン)、GONTITI(ギターデュオ)、小松亮太(バンドネオン)が一堂に会したえずこスペシャルコンサート。全国津々浦々から集まった超満員の会場は、最高の盛り上がりを見せました。そのコンサートの準備の合間を縫って、3人のアーティストたちにお話を伺いました。

GONTITIインタビュー

僕らの音楽の原点
それは自由に音楽を楽しむこと。


 

 

 

 

GONTITI(ゴンチチ)
(2001.6.8 インタビュー)

GONTITI(ゴンチチ)/
ギターデュオとして1978年結成。以来、言葉の壁を超えた快適音楽を作り続けている。83年、アルバム「ANOTHER MOOD」でメジャーデビュー。86年からゴンチチ(ゴンザレス三上、チチ松村)として本格的活動を開始。「環境音楽」に人びとの関心が高まる中、テレビやラジオなどにも多く取り上げられ脚光を浴びる。92年、竹中直人監督・主演の映画「無能の人」で音楽を担当し、同年日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。また、海外のアーティストへ楽曲を提供するなど国際的にも高い評価を得ている。インストゥルメンタル・ギターデュオとしての活動は多岐にわたり、幅広く活動を展開。また、ゴンザレス三上は、コンピュータ・グラフィックスによるイラストレーション制作をする一方、チチ松村は、エッセイなど執筆活動を行うなど、才能豊かな一面も覗かせている。


ごく自然な欲求から、
     気持ちのいい音楽は生まれる・・・。

Q:最近でこそ、癒し系やなごみ系とかいう言い方で音楽の一つのジャンルのように言われていますが、ゴンチチのお二人はずっと長い間心地よい音世界を作ってこられたわけですが、それは意識的に作ってこられたのかそれとも無意識だったのでしょうか?

松村:あまり意識していなかったですね。当時僕たちがはじめたのは、いまの形そのものですから、ギターだけでする音楽でした。そのころ歌が主流でしたのでこういう形は珍しかったかもしれません。僕ら二人が好きだった音楽ということで、意識なく音楽を作ることができたんでしょうね。

三上:ですから、自分たちが作ってて気持ちいいっていうことなんですね。

Q:特に影響を受けた音楽などはありましたか?

松村:僕は、父方のおじさんと一緒に同居していて、その人がすごく洋楽が好きで、今ではイージーリスニングみたいな音楽ですけれども、例えば、チャックス・フィールドとかマントヴァーニとかをかけていて、そういった影響はあったと思いますね。

三上:強いて言うなら、高校ぐらいからアメリカの古い音楽を聴いていたかなぁ。もともとは賛美歌なんですけどね。賛美歌はメロディーとしてもすごいと感じてましたから。

Q:三上さんはコンピュータグラフィックによるイラスト制作が得意で「アートの会」というグループを主宰していると聞きましたが、どんなことをやっているんですか?

三上:小さいころから絵を画くことがものすごく好きだったんですが、コンピュータをやりはじめたのはここ10年ぐらいですね。デザインがすごく好きでやりはじめたんです。「アートの会」というは、みんな一般の方で中にはもちろんプロの方もいるんですが、みんなでグループ展をやったりとか、芸術を自由に愛でるといった束縛のない会なんです。

Q:犬についての本も出していらっしゃいますが、そのいきさつなどお話いただけますか?

三上:犬が好きなんですね。というより動物が全般的に好きなんです。人っていろいろなものになりたがりますよね。有名になりたいとか、少なくとも自分と違うものに憧れをもつと思うんですが、犬はそういうのがないんです。犬はずっと犬のままなんです。あっさりしているというか、きっぱりしているというか、そういうところが励まされたりするんですよ。人を見ていても癒されないですが、犬を見ていると豊かなエネルギーみたいなものを感じるんです。それで、書いてみたというわけです。


Q:松村さんはいろいろなものについて書いていらっしゃって、すでに6冊ぐらいは出版されていらっしゃると思いますが、中にクラゲについての著書やゴミの話もあったのですが、それは、どういった経緯で出版されたのでしょう?

松村:僕もまず、クラゲが好きだったんですね。流されて生きているところですね。周りに迷惑をかけない流され方というところかな。興味をもちましたね。それから、ゴミの方ですが、朝日新聞の夕刊の連載ものだったんですが、作曲したギターも実は拾ったものがあって、それがもとでいいものが落ちてるんじゃないかと街を観察するようになって、その連載では、その落ちているゴミに感じることをそのまま書いたんです。割りと仕事はまじめでしてね。ほかの街まで朝早く起きて探しに行くんです。東京まで行きましたね。日本は、むちゃくちゃいいものが落ちてるんですよ。豊かなんですね。きっと。それで、そんなゴミに出会えるととてもうれしい気持ちになるんです。文章を書くのも楽しくなるんです。

Q:一般的な茶人ということではないということですが、自らを茶人と称していることについてお話いただけますか?

松村:ゴミを宝に替えるみたいな眼力を昔の茶人は持っていたという点なんですが、いまは、ある意味お金があればそれで幸せになれる社会でしょ。だけど、僕は、それは違うと思っていて、お金がなくとも道に落ちているゴミで楽しめたらいいなって思うんです。

Q:お二人とも自然体で風流な生活を送っているそうですが、具体的にどんなふうに生活していらっしゃるのでしょう?

松村:僕の場合は、茶人に憧れていたし、流されて生きること、風に流されるように生きることと重ねていただけなんですが、決断できなくてある意味で居直って言っていたのかもしれませんね。だから、僕なんかは、実は強欲に生きているのかもしれません(笑)。

三上:僕は人との付き合いもあまりよくないですし、あんまり家からも出ないです。だから、家にいると家族だけで過ごしますね。ちょっと風流とは違うのかもしれませんが、どこか世の中から線を引いている感じでしょうか・・・。

Q:イメージでもいいんですが、二人で今後何かやってみたいことなどあればお話ください。

松村:僕らはそういうのを持たないんですが、二人で作ってみたいというと、実は映画なんです。それは、予定はないんですが、可能ならば1本だけでもと考えたりしてます。映画は、二人とも幅広く好きでデビッド・リンチのイレザーヘッドなんかはおもしろいと思いました。でも有名な映画も好きだし、マイナーなものも好きですね。作るとしたらあらゆる要素を入れたいです。

三上:例えば、涙もの。お年よりの主人公。商業監督ではないですからね。場面場面の一つ一つがシーンがばらばらに構成されてても、面白いと思うんです。それから、カメラワークだけでもそれによって意味合いが違いますよね。例えば、葉っぱが写っていて、ずっとアップしていったら、そこにお座敷があっておじいさんとおばあさんが座っているんです。そしてその襖を開けるとそこには大きな大きな黒いコマがゴーって回っているんです。どうですか?・・・・・(爆笑)。そんな小津安二郎の世界みたいなやつですね。タイトルは、トンネルっていうのがいいですね。おじいさんとおばあさんがそのトンネルを通ったとき、事故が起こるんです。そのトンネルには、なぜか横道があって逃げ込むとそこには商店街があるんですよ。あるはずのない、でも人がたくさんいるはやりの商店街がね・・・。どうですか?・・・・・・(爆笑)。こんな喋っていることを映画にしたら、おもしろいだろうなって。絶対ない映画になるでしょうね。それからね、ラブシーンがあるんですが、実は上が犬で・・・・・・。

【これ以上は載せられません。ご了承ください。】

僕は、新幹線でカエルの財布を落としたことがあるんです。カエル、干したやつです。映画ではどうしてもそれを見つけたいからって、東京駅の遺失物係のところに行くんです。どんな財布ですかと聞かれて、僕が出すんです。本物のでっかいカエルを。こんなやつですって。さらに映画では、それはどれですかって聞かれるんですが、そんなカエルの財布が生きてるやつも含めてそこにいっぱい置いてあるんです。どれもこれも自分のじゃないんですけどね(爆笑)。
松村:僕は、老後に喫茶店をやってみたいなと思いまして、ここのところその店の話で盛り上がるんです。たとえば、このえずこホールのようにうちっ放しのツルツルの喫茶店があるんです。小さい窓がいっぱいあるです。中にはいっぱいの人がいて、どうぞお入りくださいと書いてあるんですが、そのツルツルした喫茶店には、どこにも入り口らしいものがないんです。実は違うところに入り口があって、ずっと離れているバーからその喫茶店に入れるようになっているんです。そのバーには窓がなくて「バー窓なし」っていう店なんです(笑)。そんなことばっかり考えてるんです(笑)。

Q:宮城県には、毎年来られていますが、宮城で印象に残っていることがあれば、教えてください。

松村:とにかく、食べ物がおいしいですね。

三上:塩釜の手前にある多賀城市にある居酒屋だったんですけど、魚がうまかったですね。全般的にこの辺の魚はおいしいと思いますよ。

松村:宮城県内は、結構僕ら行っていて、温泉だと作並温泉、蔵王の峩々温泉などにも行っています。ほかに松島とかね。そういえば、瑞巌寺っていうお寺は、すごく雰囲気がありますね。

三上:そう、あそこは何かありますよね。マイナスの感じじゃなしにね。今日の舞台のイメージは瑞巌寺で行こうか(笑)。


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