UZU・UZUインタビュー14

ずっと歌っていたい・・・
それが一番の気持ち・・・


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小林 桂
(Kei Kobayashi)



2000.10.24

2000年10月14日に開催したジャズライブ。
輝きを増し続ける若き天才ジャズヴォーカリストは、
ひたむきさと探究心に満ち溢れていました・・・。

Q:3歳のときミュージカルを見て、「僕はここに出る人になる」って思ったということですが、それは、どんな内容でしたか?

そのミュージカルは、2年連続で夏休みに子供向けに行ったと思うのですが、としま園(東京)に古いメリーゴーランドがあって、それがいろんな国を転々としながら最終的にとしま園にたどり着くといったストーリーのミュージカルだったんです。そのミュージカルの音をカセットテープにとって、本物を見て帰ってくるとそれをかけながら真似して踊ったりしてたんです。今でもその始まり方とか、照明の入り方とか細かい部分まですごくリアルに覚えてます。ですから、最初は舞台に出る人になりたいと思っていたんです。

Q:13歳のときミュージカル「キッズ・イン・ザ・キッチン」で主役を演じられたわけですが、そのときはどんな気持ちで演技されましたか?

それまでは、バレエをずっとやっていて、バレエを始めたのもミュージカルに出るために基礎として習い始めたんですが、踊りだけでなく芝居もあり、また、歌や音楽もあって、本当に自分が求めていたものだったんですね。しかもその「キッズ・イン・ザ・キッチン」の音楽を全部任されていた方が、としまのミュージカルを書いていた方だったんです。ですから、三歳のときからお付き合いがあったこともあり、それが縁でお話をいただいたわけなんです。自分の中では、すごく楽しくて、初体験ではあったんですが、バレエで大きなステージを経験してましたので、ステージに立つことに緊張感はなかったです。逆に自分を全部出し切ったことで、達成感を覚えましたね。

Q:15歳からドラマー、ヴォーカリストとしての活動を始めたそうですが、音楽への道に進みだしたきっかけはあったんでしょうか?

割りと自然に音楽の方に移行しました。ミュージカルを終えてバレエは止めちゃって、いい休憩でもあったんですが、毎日のようにやってたバレエでしたから、ちょっと寂しい思いもありました。でも、学校で吹奏楽部に入ってドラムを始めたことで、今度は音楽の方にのめり込みだして、意識的にいろんな音楽を聴きだしたんです。ヴォーカルもミュージカルに出たりとかで、歌うことも好きだったし、合唱部に入ったりもしました。それから、母がヴォーカリストで、ジャズヴォーカルを自宅で教えているんです。そんなジャズヴォーカルをちっちゃいときから聴くチャンスも多くあって、ジャズを好きになりだして、レコードなども聴くようになっていったんです。そして、ジャズのリラックスした大人の雰囲気がいいなと思うようになって、それで、好きな曲を覚えては歌ってみたりして始めたんですね。

Q:16歳でハービーハンコックらと共演したわけですが、どんな気持ちでしたか?緊張はしませんでしたか?

これは多分歌い手としてやった一番大きな仕事でもあって、神戸にあるアリーナサイズの大きな会場で、すごく長いコンサートだったんですが、各国からレベルの高いミュージシャンが集まっていて、そういう中で自分が音楽家として出たのも初めてでしたし阪神淡路大震災のチャリティーということで、その地震でショックを受けた人びとを音楽でもって勇気づけていこうという、大きなシチュエーションの中で、自分が歌えたというのは、誇りに思うし、ヴォーカリストとして取り上げてもらえたというのは、うれしく思いましたね。初舞台が5歳でしたし、舞台を数々経験してましたから、舞台に出るのが怖いとか緊張してしまうということはなくて、自分が楽しもうとステージに臨めるんです。もちろんいい意味で緊張することは必要で、そのようにもっていこうとはしていますが・・・。

Q:歌うことについて、特に意識していることとか、気をつかっているというようなことはありますか?

自分自身をすごく大事にするというのかな・・・。歌ってすごく個性が出ますよね。僕の場合、音楽って本来リラックスできるとか、気持ちが落ち着くといったことが、音楽の一番の良さだと思っています。それから、あんまり押し付けがましくなく、自分の持っている声を楽にかつ自然に出して、自然体でいられることも良さだと思います。割りと空間を大事にして、自分もリラックスした状態で、表現していくことを意識してると思いますね。

Q:好きなアーティスト、あるいは目標にしてるアーティストはいますか?

一番近いところにいた先輩のミュージシャンていうのが僕の両親なんです。ほんとに自分たちの大切なことをまっすぐに一生懸命やってきたと思うんです。現実的な話ですが、僕みたいな子どもを育てながら、かつ好きなことをやって生活することは、大変だと思います。ですから、好きなことを突き詰めて、見失わないでやっていく姿を見せてくれた両親をすごく尊敬してます。

Q:これからこんなことをやってみたいとか、こんな活動をしてみたいということがありましたら、お話ください。

知っている人たちの中にも、苦労しているミュージシャンがたくさんいて、いいことやっていても世の中に出ていけなくて、地味に生きて死んでしまうミュージシャンって多いと思うんですが、僕の場合はこんなふうにスポットを当てていただいて、自分の好きなことを今やれているってことがすごくうれしいですね。そのままずっと続けていけなくても、ずっと歌っていたいっていうのが一番の気持ちですね。

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▲ホットなライブシーン。
小林圭の魅力あふれる歌声に、
満席になった会場からも
惜しみない拍手が贈られました。

これから先何十年も歌っていける機会があればいいなぁと思います。今まで僕が経験してきた音楽以外の部分、例えば、踊ることや他にも好きなことがありますけど、そういうものをうまく一緒にしていって、もちろん音楽を耳で聴いて楽しめ、そして、目で見ても楽しめる。ジャズファンとかロックファンとかそういうところではなくて、いい音楽として、もっともっといろんな人が見て楽しめるステージをつくっていければなぁと思います。

-ありがとうございました。


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