UZU・UZUインタビュー12

夢を探し、感動を

創り上げた174日間、


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▲「えずこ天然音楽会」オープニング、
 圧倒的な迫力の津軽三味線30弾き

えずこプロ
(えずこアートプロデュース集団)

(2000.3.8)


プロデュース日誌

自分たちの手で芸術イベントをプロデュースしよう。
自分たちの手で感動を創り上げよう。
仙南の各市町から年齢も職業も異なる人たちが集まり、
平成11年9月17日、1回目のワークショップから、5カ月と2週間と6日。
26回にわたるワークショップと制作会議を経て一つのイベントをプロデュースしました。それが3月8日開催の「えずこ天然音楽会」。
会場は満席で立ち見が出るほどの盛況となりました。
これはそこに至るまでの174日間の足跡である。

お疲れさま・えずこプロ・メンバーから一言

●基礎編では、約2カ月の間に各分野で活躍している一流の講師6人の話を聴くことができました。毎回、夜9時から10時まで眠気を必死にこらえるのは辛かったけれど、つくり手側の世界をのぞかせてもらいました。実践編では、実際にコンサートをつくり上げる中で、ミュージシャンはもちろん、音響や照明のプロの技を身近に見るという貴重な体験をさせてもらいました。いかに自分のビジョンを明確にし、周りの人に伝えることができるかが重要だと思いました。(角田市 柴口賢一)

●仙南圏域の芸術・文化の活性化を。えずこアートプロデュースワークショップは、それに応えるよい企画で、しかも実践編も充実していました。市民センター勤務のため、仕事の延長の感もありましたが、いろいろな人と交流することができ、楽しかったです。(角田市 飯渕善男)

●講師の方々、えずこのスタッフ、そしてワークショップの仲間etcの人間性と感性に触れることができたのが嬉しかった。知識や技術を得ること、それ以上に、“本当にいいもの”とは一人一人の熱い思いとそこに携わるさまざまな手が創り出すのだなぁと実感できました。いつかどこかで、心と心をつなぐ感動を創る…。その日まで、自分を磨き続けようと思う。携わったすべての人々、そしてご来場いただた方々に心から感謝します。こころからありがとう。(柴田町 藤原政志)

●私の青春の思い出は日比谷野外音楽堂から始まり、そして、空の雲のように日々が流れた。今、温かい人たちとこのえずこホールで、沈みかけた感性に鮮やかな色をつけ、磨きをかけて何らかの足跡を残せるよう楽しく学んでいきたいと思っています。(名取市 板橋芳子)

●えずこアートプロデュースの一員として参加が出来て何かが良かったか?それは簡単。大河原という地域の人たちと出会えたことです。これは本当に良かった。近い将来、えずこでしか出来ないイベントをまた始めたいです。(名取市 菅井奈月)

●えずこ天然音楽会での私の担当は、マスコミ関係各社へのPR掲載や取材の依頼でした。これもなかなか貴重な体験でしたが、それよりも印象に残っているのは、チケット販売の思い出です。昼休みを利用しての職場内営業。慣れない「スマイル」で顔を引きつらせ、1枚売れるたびに心の中でバンザイでした。また、販売所巡りでは、大河原町は晴れ、でも隣の川崎町では大雪、ということもありました。仙南圏域は広いと実感した私でした。(大河原町 桜田尚)

●後半は参加できず、心残りだったのですが、それでも、一人一人が心に残るイベントが創れたと感じています。打ち上げのとき晴れやかな気持ちで酒を飲み語り合う。お客様が楽しむのはもちろんのこと、企画している私たちが楽しまなくては…。次回の参加者には、ぜひ素人さんも多く参加することを望みます。税金も払ってみるもんだ。その道のスペシャリストの方の話を聞くだけでも大収穫でした。最後に、ステキな出会い、えずこプロの皆さんに感謝します。(蔵王町 近江ひろみ)

●芸術・文化を大切に思う心があれば、環境や福祉・教育、そして、まちづくりを大切に思うことのできる人が育つと思います。えずこホールを中心にこれからも素敵な芸術・文化を発信し続けていきたいと思います。地域の皆さんの声が反映され、参画してのえずこホールです。どうぞこれからもよろしく!(白石市 大庭三余子)。

えずこアートプロデュースワークショップ基礎編

9月17日・ワークショップ全体のガイダンス
基礎ワークショップでは、各界から第一線の講師を招いてお話をうかがった。

9月24日・地域住民と芸術 新潟市民芸術文化会館の事業課長、田代雅春さんの話を聞く。ホールの開館4年前から市民参加のシステムづくりに取り組み、さまざまな事業を展開。オープン後も、質の高いアーティストの公演を次々に開催しながら、住民参加型の事業も精力的に展開。ホールのサービスもかなり充実している。ただただ感心。

10月1日・芸術イベントプロデュースの実際 プロデューサー岩永正敏さんのお話。プロデューサーをしてこられたさまざまな経験談。資金集め、交渉、運営の実際。現場に立って考えることの大切さ。そして、たくさんの失敗をとおして身に付けた深い洞察力。さすがである。

10月22日・舞台芸術を支える仕事 地方の劇団として長年優れた活動を継続している弘前劇場の中村昭一郎さんのお話。舞台監督、スタッフのさまざまな仕事。舞台をささえる仕事の奥深さと、地方で芸術活動、舞台活動を続けていくことの難しさ。そして、それを乗り越えたところにある喜びについて。芸術も深いが人生も深い。

10月24日・地域のネタ探しフィールドワーク1 ホールを飛び出し仙南圏域をめぐり、芸術イベントの素材を探すフィールドワークの1回目。秋晴れの穏やかな一日。ピクニック気分でえずこホールを出発。七ヶ宿の滑津大滝や白石の材木岩、武家屋敷などを巡り、アイディアをまとめる。最後に白石で蔵を拠点に地道な活動を続ける蔵富人(くらふと)の活動を、阿部さんから蔵を案内してもらいながらな聞く。地域に住む人が「蔵」という財産を大切にし、それをどのような形で生かそうかと真剣に考える。そういう活動自体がとてもすばらしい。

10月29日・NPO活動とその経営 岩手県立大学の山田晴義教授のお話。NPOとは何か。実際にどんなことがNPOとして取り組まれているか。豊富な資料と実例をとおして説明していただく。

11月5日・芸術イベントのマーケティング マーケティングについて、電通東北の森直人部長に話を伺う。イベントを企画実施する際、マーケティングは非常に重要である。イベントの成否はマーケティングにかかっていると言っても過言ではない。そういった例を具体的に教えていただいた。しかし、芸術イベントが、特に地方においては黒字になることはまずない。難しいものである

11月7日・地域のネタ探しフィールドワーク2 フィールドワークの2回目。今回は、丸森の齋理屋敷、角田の大蔵山、そして、村田の蔵、柴田の麹屋コレクションを巡る。大蔵山では採石場跡地を利用して、イベントを開催したりさまざまな活動をしている山田さんの話を伺う。山田さんは、目先の考えではなく、数十年先の環境まで見据えて地域のことを考えている。その姿勢は学ぶところ大である。

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▲熱い拍手に応えてアンコールの
ステージに立つ小田島、富塚、小湊の三氏

えずこアートプロデュースワークショップ実践編

11月12日・企画書のまとめ方 企画書の書き方を学び、フィールドワークでスケッチしてきたアイディアを企画書に落とす作業。アイディアを膨らませ、あるいは解体し再構成する。なかなかうまく書けない。

11月19日・プレゼンテーション 各自が書いた企画書のプレゼンテーション。同じ場所を見てきたわけだが思いはそれぞれ。企画もさまざまである。それにしても企画することは難かしい。

11月24日・実践編企画会議1 いよいよイベント・プロデュースの企画会議。いつ、何を、どんなふうにやるのか。音楽系なのか、演劇系なのか。フリートーキングで出る企画はばらばら。それを消去法で絞っていく。2月までに開催したいが、チケットの前売り、広報宣伝などを考えると時間が足りない。果たして間に合うのだろうか。

12月10日・実践編企画会議4 絞り込まれた案のうち、津軽三味線とさまざまなジャンルの音楽とのコラボレーション企画を検討。大河原町在住で、津軽三味線の名手富塚孝さんを音楽監督にお願いして実施する方向で決定。さっそく富塚さんにお願いして、快諾を得る。

12月15日・実践編制作会議1 公演名は「えずこ天然音楽会〜古今東西和洋競演featuring津軽三味線〜」に決定。初めてにしては野心的な企画である。しかし、時間は十分にあるわけではない。早速準備に入る。チラシ・ポスターの内容の検討、制作、広報宣伝、チケット管理、会計、その他役割を分担。しかしそろそろ年の瀬、来年までしばしの休息に入る。

1月7日・実践編制作会議2 新しい年2000年が始まり、制作会議も開始。公演内容の確認、広報・宣伝の内容の検討。そして、みんなで手分けして後援や各種媒体への広報のお願いへ行くことに。

1月19日・実践編制作会議3 チラシ・ポスター、チケットが刷り上ってくる。手売りのチケット、さらにチケット取扱所への配布を皆で分担する。果たしてチケットは売れるだろうか。

2月2日・実践編制作会議4 予算の確認、チケットの売上状況の確認。既に自分の割り当て分30枚を売り切った人もいる。音楽監督の富塚さんがかなりチケットを捌いている模様。

2月9日・実践編制作会議5 出演者の榊原さんより、企画の意図がよく伝わっていない旨の話あり。ミュージシャンとの打ち合わせをすっかり富塚さんにお願いしており、深く反省。代表の柴口と財団事務局の水戸が、榊原さん宅へ趣旨説明と打ち合わせに行くことに。

3月2日・実践編制作会議6 公演一週間前。当日の進行と、役割分担を確認する。チケットが予想以上に売れており、立ち見が出た場合の対応について話し合う。女性の参加者で当日豚汁をふるまおうかという話も出て、本番へ向けて気分も盛り上ってくる。

3月7日・仕込み いよいよ公演前日。音響照明の仕込みが午前中から入る。舞台に黒紗を張り、布の吊りものを吊る。だんだん舞台が出来上がってくると本番が近いことが実感として感じられてくる。

3月8日・公演当日 公演当日。表方、裏方を分担し配置につくが、ほとんどの人が初めて。ちゃんとできるだろうか…。本ベルが鳴り、幕が上がると照明に浮かび上がるように、津軽三味線三十人曲弾きが始まる。圧倒的な迫力である。次は、榊原光裕&法笙組、民謡を斬新なアレンジで演奏。金崎カルテットは東北民謡をジャズで演奏。仙台ちゃんちきは祭り囃子のような、懐かしいそして新しい音色でステージを盛り上げる。フィナーレはオープニングの曲を、ミュージシャン総出演で再演。渦巻く拍手と熱気で盛り上がる中、えずこプロ初プロデュース公演は幕を閉じた。

終了後すぐに後片付け、そして打ち上げへ。出演者とスタッフが入り混じり、笑いながらおいしい酒を酌み交わす。きょうは本当に疲れた。しかし、すばらしい体験の後の心地よい疲れである。
さて、この次は何を企画しようか……。
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▲「えずこ天然音楽会」
 ミュージシャン総出演のフィナーレ

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