UZU・UZUインタビュー19-03
   
   




























日本クラシック界最大のロングセラー、ヴィヴァルディの「四季」。

その演奏オケとして絶大な人気を誇るイ・ムジチ合奏団が、2003年10月11日えずこホールでコンサートを開催。コンサートマスターのアントニオ・サルヴァトーレさん、コントラバス奏者ルーチョフ・ブッカレラさんに日本の印象や音楽活動について伺いました。



Q: えずこホール、A:アントニオ・サルヴァトーレさん、R:ルーチョ・ブッカレラさん,)


Q.20回目の来日ということで、日本では何度も演奏されていますが、先ず日本の印象から教えてください。

アントニオ・サルヴァトーレ 日本に来る前は東洋の神秘というイメージを強く持っていて、77年に初めて来日したときはあらゆるものに新鮮で深い感銘を受けました。

A: それ以降何度も来日していますが、最近は、西洋の文化の影響を受けて大きく変化してきているのではないかという印象をもっています。ここ数回の来日ではまるで自分の家に帰ってくるような、そんな気がしています(笑)。


Q.日本食はどうですか?

A: 鮨が大好きです。実は料理が好きで、インターナショナル料理って言ってもいいと思うんですが、世界中を演奏旅行で回って覚えたいろいろな国の料理の特徴を取り入れて、それに自分なりの味付けをしてオリジナルの料理を作ったりしています。

それと自然なものが好きなので、自然の素材を大切にし、油もあまり使わない日本食は健康的で大好きです。



公演後のサイン会の様子

Q.えずこホールの印象はどうですか?


A: 宇宙船のカプセルみたいな形ですね。でもお寺のような作りのようにも見えます。それから、音響がいいのは日本の多くのホールに共通して言えることなんですが、特にピアニシモがよく聴こえるし、反響して戻ってくる音もすばやい。とてもいいホールです。

ルーチョ・ブッカレラ(コントラバス奏者) 恋をしている若い女性のようなホールだね(笑)。それだけ繊細だということです(笑)。

A: ロマンティックな表現だね(笑)。でもほんとですよ。

R: 私たちは、皆古い楽器を使っているので、相性のいいホールがあってこそ楽器も生かされ、本当の音色も引きだされるんです。このホールの響きはいいです。



Q.すばらしいお褒めの言葉ありがとうございます。イ・ムジチの演奏スタイルですが、指揮者を置かず一人一人がソリストという考え方の古いスタイルですが、それを踏襲している理由は、またそのよさはどんなところでしょうか?

A: コンサートマスターが中心で指揮者なしというオールドスタイルでずっとやってきています。それが室内楽の形です。しかし、すべてコンサートマスターが仕切るというわけでもなく、コンサートマスターが演奏しないパートでは別の演奏者がきっかけを出したり、皆で協力して音をつくっていきます。

R: 指揮者がいる場合、指揮者の色を出す演奏になりますが、我々の場合は、メンバーそれぞれのカラーを生かして、しかもまとまっているという形をとっていきたいと思っています。



Q.ヴィヴァルディの「四季」は日本では異例の ロングセラーを記録していますが、皆さんにとって バロック音楽、そしてヴィヴァルディの魅力とは どんなところでしょうか。

A: 私たちの楽器編成は「四季」の演奏に ぴったりの編成になっています。 ヴィヴァルディがヴェネツィアのピエタ女子養育院で 僧侶として教えていたころ、そこにいる子どもたちにヴァイオリンやヴィオラやチェロを教えて演奏をさせていたのがその原点なのですが、「四季」とこの編成というのはまるでパスタの上にかかったチーズ。



サイン会では笑顔でお見送り。



Q.つまり最高の素材の組み合わせということですね。

R: 当時、男の僧侶が女性だけの修道院へ行って音楽を教えているというのは、スキャンダラスなことで、ちょっと女の子に手を出していたという話もあって(笑)、あるときからミサを執り行う権利を剥奪されたということもあったようです。それで、ヴァルディは髪の毛が赤かったので赤毛の司祭と呼ばれていました。

A: バロックについては、我々は、700年代の音楽と呼びます。今回のプログラムを見ていただくと分かると思いますが、800年代の音楽も好きですし、900年代の音楽もレパートリーに入れていますし、これからは2000年代の音楽へも入っていきますし、そうするとイ・ムジチは永遠、イ・ムジチ・フォーエバーというテーマになっていくのかなと考えています。



Q.これからからのイ・ムジチについて、何か考えていることはありますか。


A: 今、若い奏者も何人か加わってきて世代交代もしています。そんな風に世代交代しながら、これからもずっとイ・ムジチの活動は続けていきたいと思っています。



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