えずこホール開館20周年記念事業 えずこせいじん博覧祭

〜はじめての電車〜

えんそくひろば

2016.10.6

事業概要



ローカル線あぶきゅうに乗って、アーティストと一緒にちょっとそこまでお出かけ。
ガタン、ゴトン、どきどき、わくわく新世界。

    アーティスト プロフィール

  • 柏木 陽 (演劇家)
    1993年、演劇集団「NOISE」に参加し、劇作家・演出家の故・如月小春とともに活動。2003年にNPO 法人演劇百貨店を設立。全国各地の劇場や学校などで、子どもからおとなまで、幅広い世代を対象に独自の演劇空間を作り出している。青山学院女子短期大学、大月短期大学、和光大学等で講師も務める。

  • 片岡 祐介 (音楽家)
    東京音楽大学で打楽器を学ぶ。障害者、高齢者施設、病院など様々な場所で、即興音楽セッションを行う。06年度、NHK 教育TV 番組「あいのて」にレギュラー出演。12年~13年、京都女子大学と京都造形芸術大学の非常勤講師を務める。

    〝あぶきゅう〟に乗ってパパ&ママとショートトリップ

  • 10月6日に行われた「えんそくひろば」は、えずっこひろば(毎月1回えずこホールで開催している子供たちのための遊びの広場)の出張版。近隣学生の足として、また仙台や福島への移動手段として活躍する阿武隈急行線。地元で〝あぶきゅう〟の名で親しまれる同社の多大なるご協力のもと、今回の企画は行われました。

    この日はおよそ20名のパパとママ、そして子供たちが参加。角田駅に集合し、そのままみんなで槻木駅へ。当日は快晴。車内では、車窓の風景を眺めながらお弁当を食べたり、写真を撮ったり、皆さん思い思いに電車旅を楽しまれていました。

    槻木駅到着後は、構内にある槻木コミュニティへ。館内ではすでに音楽家・片岡祐介さんによるピアノ演奏が。参加者は心地よい音色に誘われながら、フロアの中へと入っていきました。しばらくして始まったのは、演劇家・柏木陽さんによる絵本遊び。単なる読み聞かせだけでなく、絵本の世界観を声と体を使って子供たちと一緒に楽しむ、恒例のワークショップです。子供たちだけでなく、パパ・ママも参加。フロア内は大きな笑い声に包まれました。

    3冊ほど絵本を読んだ頃、再び片岡さんによるピアノ演奏がゆっくりと始まりました。即興の演奏に、子供たちは興味津々。次第に手拍子が始まり、するとピアノに合わせて柏木さんが、小さな子たちとジャンプしたり、床でゴロゴロしたり。一方の片岡さんは、今度は鈴や木琴、タンバリン、太鼓、ホーンチャイムなどをみんなに配り始めていました。片岡さんがそれらの楽器を使って音を出してみると、子供たちも我先にと楽器を手に取り、音を鳴らしていきます。そして気づいてみれば、小さな子供たちによる大きな楽団の出来上がり。しかもその音楽の、なんと心地よかったこと。もちろん、片岡さん、柏木さんの素晴らしいリードがあってのことなのですが、演奏家のような、ちょっと誇らしげな表情で楽器を鳴らす子供たちの顔も見ることができました。

  • 角田駅を出発

    着いたのは槻木駅

    即興演奏がすぐに始まる

  • 1時間ほどのワークショップが終わり、再びみんなであぶきゅうに乗り込み角田駅に向かいました。途中、柏木さんは子供に話しかけたり、片岡さんのピアニカ演奏に合わせてみんなで歌ったりと、車内ではアーティストとのふれ合いを楽しみ、この日の「えんそくひろば」は幕を閉じました。

    イベント終了後、柏木さん、片岡さんに話を伺いました。片岡さんは「今日は、内容はあまり関係ない気がした(笑)。〝電車に乗って帰る〟ってことだけだとあまり意味がないので、そこに何か名目が欲しいので、我々はそのダシに使われたって感じかな」と笑っていました。柏木さんも「うーん、でも、なんかよかったって感じですかね。例えば高原に遠足に行ってお弁当食べて帰ってきても、それはそれで面白いのかもしれないけれど、それよりもみんなで集まってどこかに行っておしゃべりするほうが面白いと思うし、楽しい。だから、まあ今日はよかったかなって。みんな楽しんでいたし」とこちらもニヤニヤ。「なんだか不思議な会が終わったね」と顔を見合わせている2人の姿が、なんだかとてもかわいく見えました。

    えずっこひろば番外編「えんそくひろば」。なんともゆる〜い会になりましたが、大成功で終わった模様。帰り際、アーティスト2人に笑顔で手を振る子供たちの姿がそれを物語っていました。
    (文:乾祐綺)