えずこホール開館20周年記念事業 えずこせいじん博覧祭




えずこせいじん祝賀祭

2017.03.04-05

事業概要


えずこホールが誕生して今年で20年。それを記念して2017年3月4・5日の2日間、「えずこせいじん祝賀祭」が開催されました

    20周年記念講演レポート1(3月4日)

  • えずこホールが誕生して今年で20年。それを記念して2017年3月4・5日の2日間、「えずこせいじん祝賀祭」が開催されました。

    公演当日朝、館内の随所ではリハーサルが行われ、スタッフも忙しく動き回り、祭りの直前特有の、気持ちのよい緊張感が漂っていました。

    午前11時。20周年記念公演の皮切りは、「楠原竜也とダンスせいじんたち」。地元の子供たちがダンスをしながら広場から登場。ダンスは徐々に場所を変え、中庭でのパフォーマンスへ。プロデュースは、振付家・ダンサーとして活躍する楠原竜也さん。子供たちは「えずこせいじん」というワードを、体とダンスで表現していきました。

    会場を平土間へ移し、次はえずこのゴスペルグループ「e⭐︎GG」の舞台。10人ほどで構成されたメンバーが披露したのはゴスペルの定番曲『you are good』 『君は愛されるために生まれた』『The Blessing Of Abraham』の3曲。大きな身振りで、かつ笑顔で歌う様には、見ているほうが元気をもらえるような、そんなパワフルなステージでした。

    続いて登場したのは「AZ9ジュニア・アクターズ」。1993年から地域で活動を続ける同グループは、村田町名産のソラマメを主人公にした、上演したばかりの公演「村田スカイマメーズ 奥州蛇藤伝説2017」を、祝賀祭用にアレンジしたものを発表。仙南地域の小学4〜6年生で構成された約30名が、若さ溢れるパフォーマンスを見せてくれました。

    次いで平土間では、「野点撮影班」による短編ドキュメンタリー作品『野点外伝』を上映。2016年に丸森町で開催された、陶芸家・きむらとしろうじんじんさんによる2カ所での野点の、起案から場所選定、実際の開催に至るまでのストーリーを追った物語となっていました。

    午後1時。場所を大ホールに移し、「えずこウインド♪アンサンブル」による演奏がスタートします。同グループは、20〜60代という幅広い年齢層で構成された吹奏楽団。この日は『Welcome』『糸』『友愛と聖歌のファンファーレ』を披露。50名という大所帯による吹奏楽の演奏は、会場を一気に華やいだ〝祝賀会〟の雰囲気に変えました。

    大ホールでの2番手は、1996年から活動を続ける市民劇団「えずこシアター」による公演。この日のためのオリジナル公演『わいわい! おいわい! えずこシアター!』が披露されました。えずこホールとの思い出をメンバーそれぞれが発表したりと、20周年を祝う内容で場を盛り上げました。

    市民劇団からバトンを受け、ここからはこれまでえずこホールと関わってきたアーティストによる演目へ。まず登場したのは、作曲家でピアニストの野村誠さん、ダンサーで振付師の遠田誠さん、俳優で演出家の倉品淳子さん、アーツマネージャーの吉野さつきさん4名によるチーム「門限ズ」。ダンスあり、音楽あり、パフォーマンスあり、演劇ありという構成で、独自の世界観で20周年や「アート」を表現しました。

    祝賀会初日の大ホールの最後を飾ったのは、ダンスの元世界チャンピオンISOPPさん率いるストリートダンスチーム「ISOPP+GOODmen」。前半は、この日のイベントのためだけに作られたという映像作品を中心に、ちょっとコミカルな内容で会場を爆笑の渦に。後半は、本格的なダンスで観客を魅了。最後にはピアニストの中川賢一さんとのコラボレーションで、前衛的なピアノ演奏に合わせメンバーが即興でダンスを披露するという、実験的なパフォーマンスも見せてくれました。

    4日の締めとして、平土間では『えずこせんじんトーク』と題して、えずこホールのアート活動に参加している住民創造グループや、ワークショップやアウトリーチでお世話になったアーティストの方々が登壇し、現在の活動内容や、えずこホールへの思い、今後のホール活動の展望などを話し合いました。

    さまざまな意見の中、えずこホールとの関わりは今回の20周年記念イベントが初めてだという東京大学文化研究所教授であり表現者でもある安冨歩さんは、「えずこホールは、日本でも珍しい活動が盛んなホール。その理由はおそらく、9つの自治体が関わっていることで逆にコントロールが効きにくいこと、行政区分の境界線上という立地上の特性などにあるのではないか。加えて、幅の広い、いい意味で〝曖昧なアーティスト〟をたくさん招いたことで、公共ホールとしては〝あってはならない〟ほど、すばらしいものになったのだと思います。いずれはここをフリースクールみたいにすればいいんじゃないかな」という指摘と提言が印象に残りました。

  • ホワイエは藤浩志さんの作品展示

    「楠原竜也とダンスせいじんたち」のパフォーマンスで幕開け

    えずこのゴスペルグループ「e☆GG(えずこ☆ゴスペル)」

    「AZ9ジュニア・アクターズ」

    アトリエデリスのランチも販売

    「えずこウインド♪アンサンブル」

    「えずこシアター」

    「門限ズ」

    「ISOPP+GOODmen」




    20周年記念講演レポート2(3月5日)

  • 3月5日午前11時。快晴。この日も平土間からスタート。最初はえずこホールとともに歴史を重ねた「えずこ♪男声合唱団」の発表から。12名のブレザースタイルの男性が次々にステージに登壇し、おもむろに合唱が始まりました。コミカルな歌詞で人気のテーマ曲の後、『雪の降るまちを』、映画『ラピュタ』でおなじみの『君をのせて』、『ひょっこりひょうたん島』、『遠くに行きたい』など、さまざまな世代が楽しめる歌を熱唱。「最後はやっぱり宮城県の民謡でしょう」と『斎太郎節』を披露。会場全体から手拍子が起こりました。

    「えずこ♪男声合唱団」の合唱がちょうど終わった頃、広場のほうが賑やかになっていました。行ってみると、何やら白装束の集団が。なんと「門限ズ」が「きむらとしろうじんじん&野点チーム」とコラボし、パフォーマンスを始めていました。さらに、たまたま通りかかった音楽家の片岡祐介さんも引き込まれ、『上を向いて歩こう』を即興ライブ。晴れ渡る陽光の中、ゆるくも穏やかな時間が流れていました。

    平土間へ戻ると、「えずこヴァイオリン&チェロ♪アカデミー」による演奏が始まっていました。バッハの『メヌエット』を始め、数曲を演奏、小・中学生を中心にした12名で構成されたメンバーが一生懸命に演奏する姿に、観客も聴き入っていました。最後は東北復興のシンボル曲『花は咲く』を演奏して、発表を終えました。

    次いで始まったのは、「柏木陽+片岡祐介+60歳からの楽しいクラブ活動メンバー」による発表。この日のために、音楽家・片岡祐介さんと演劇家・柏木陽さんがメンバーらとともに作り上げた2曲を披露。参加メンバー全員のエピソードを盛り込んだ『コウレイ化』と、病気予防を楽しく歌った『万病のもと』を、元気よく歌い上げました。

    午前のプログラムの最後は、詩業家・上田假奈代さんによる詩のワークショップ。平土間のカーテンを開け放ち、心地よい外の光を感じながら、数名の参加者とともにステージ上で公開ワークショップを行いました。「虹を架けるならどこにかける?」「森の中では何が行われている?」など、上田さんが参加者に質問を投げかけ、その答えに合わせるように、音楽家の片岡さんが伴奏をつけていきました。そのなんとも言えない気持ちのよい雰囲気に誘われるように、参加者たちの回答も徐々に詩的なものに。短い時間ではありましたが、会場全体で詩作の楽しみを味わいました。

    5日の大ホールでの公演は、「えずこギター♪アンサンブル」からスタートです。まずは美空ひばりの『川の流れのように』、東北復興のチャリティーソング『花は咲く』を演奏。さらに、「住民のみなさんとの間に芸術の橋がかかるように」というメッセージとともに、最後にゆずの『栄光の架橋』を演奏してくれました。

    そしていよいよ「えずこせいじん祝賀祭」のメインイベントの始まりです。題して「えずこラボレーション。しあわセレブレーション」。えずこホールと関わりのあるアーティスト同士がコラボし、準々に発表していきます。

    第一部では、まずはアウトリーチなどを一緒に行うことが多いピアニスト・中川賢一さんとヴァイオリニスト・神谷未穂さんのコンビに、振付家・ダンサーである山田うんさんが参加。中川さん、神谷さんの演奏に合わせ、山田さんが情緒的かつ芸術的なダンスを披露してくれました。

    次も、ピアニストの中川賢一さんのピアノから始まりました。演奏に合わせて、ローラーペインター・さとうたけしさんによるライブペインティングが開始。ダンサーの楠原竜也さんも登場し、ステージ上を所狭しと踊っていきます。そして、さとうさんによる絵も完成。大きなキャンバスには、大河原を代表する風景である見事な一目千本桜が描かれていました。

    作曲家・野村誠さんと音楽家・片岡祐介さんによる演奏は、野村さんが作曲した曲を2人で演奏しました。野村さんがピアノ、片岡さんがマリンバを担当し、掛け合いのような見事な演奏に観客も目を奪われていました。そして三たび、中川賢一さんのソロ演奏が入り、第一部は終了となりました。

    第二部は、片岡祐介さんと上田假奈代さんのコラボで始まりました。客席をめぐりながら繰り出される上田さんの言葉に、片岡さんがピアノとピアニカで合わせていきます。詩の朗読が、音との出会いによって、まるで美しい音楽のようになっていく様が驚きでした。

    きむらとしろうじんじんさんによる、野点の報告もありました。2016年夏に丸森町の岡駅前と筆甫で行われた野点の映像を紹介しつつ、2カ所で行われるようになった経緯や、野点に寄せる思いなどが語られました。

    次いで野村誠さん、柏木陽さんの提案で、アーティストたちが客席と舞台を駆け巡りながらパフォーマンスをすることに。リレー形式で10秒コメントやダンス、ピアノ演奏を披露した後は、お題に合わせてアーティストが演奏や体で表現していく「お題デュオ」。「おかまいなしの動物園」「ミトコンドリアの夕暮れ」など、一風変わったお題を全力で表現するアーティストの姿に、会場は爆笑の渦に包まれました。

    「せっかくなので、いつものアウトリーチをみなさんにも体験してもらいましょう」と柏木さんが提案し、観客席にいるゲストたちをステージ上へと招きました。普段のアウトリーチでは、学校の子供たちにピアノの構造を理解してもらうためにピアノの下に入って演奏を聴かせたりしているのですが、それを大人にも味わってもらいたいという粋な計らい。中川賢一さん、野村誠さんの2人の演奏を間近で見られるとあって、ステージに上がった人たちは興味津々で、指先などを真剣な表情で見つめていました。

    そして最後は「グランドフィナーレ」へ。えずこホールで活動する住民創造グループが結集し、えずこホール・水戸館長の指揮で演奏を披露。住民創造グループはそれぞれにメッセージを発表し、「えずこせいじん祝賀祭」は幕を閉じました。

    (文:乾祐綺)

  • 「えずこ♪男声合唱団」

    「えずこヴァイオリン&チェロ♪アカデミー」

    「柏木陽+片岡祐介+60歳からの楽しいクラブ活動メンバー」

    詩業家・上田假奈代さんによる詩のワークショップ

    さとうたけしさんのワークショップで子どもたちと描いた絵も展示

    門限ズが飛び入り参加した「野点キャンプ」

    「えずこギター♪アンサンブル」

    「えずこラボレーション。しあわセレブレーション」の一コマ