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色とりどりに輝くたくさんの魅力に満ち溢れた作品。演劇交響曲第一番「十年音泉(てんねんおんせん)」は、音楽、演劇、ダンス、美術を素材に、アーティストと住民参加者が徹底的に遊び、楽しみながら創り上げた全く新しい作品。
そのステージは喜びのエネルギーに溢れ、舞台は客席に繋がり、客席は地域へと繋がる。えずこのいきいきは地域のいきいき。えずこホールが10周年を記念して制作した祝祭のステージの表と裏をリポートする。(本文中敬称略)
これまで10年の集大成であり次の10年への第一歩
そして誰もが参加でき楽しめる創造的なプログラム
人はいきいきと生きてこそ人である。そして人がいきいきと生きるためには、文化・芸術はなくてはならないものである。えずこホールは、ホールのみならず地域のさまざまな場所で、たくさんの住民がさまざまな文化芸術を通していきいきしていくこと、そしてそのことによって地域がいきいきしていくことをミッションにさまざまな事業を展開してきた。
さまざまなジャンルから選りすぐった公演事業のほか、ホールを拠点に活動する10の住民創造グループ(音楽5、演劇1、ボランティア3、制作グループ1)の活動、随時開催してきたさまざまなジャンルのワークショップ、そして、地域の学校、福祉施設などと連携で展開してきたアウトリーチ事業。10年の歳月を経て、来館者は100万人、主催事業の参加者も20万人を数えるに至った。
10周年記念事業は3年前から準備してきた。企画に当たり提案されたのは、「これまでえずこホールが取り組んできた事業の集大成となるもの」「これからの10年へ向けた第一歩となる新しいステージ」「地域の誰もが参加でき、誰もが楽しめる創造的なプログラム」の3本の柱。それが具体的な立案の段階では、音楽、演劇、ダンス、美術、その他さまざまなアートと人が自由に交錯する、創造的、祝祭的な住民参加型総合音楽劇というふうにイメージはどんどん膨らんでいった。
2006年3月のプレ公演を経て、総合監修を担当することとなったのは、音楽家の野村誠。住民との共同作曲やユニークなワークショップで知られる野村は、3年前からえずこホールで「ホエール・トーン・オペラ」ワークショップを継続的に開催、プロもアマも隔てなく自然に自由に協働し独自の音楽世界を創造してしまうその才能には参加者も職員も脱帽、白羽の矢が立てられた。
ダンス・振付を担当したのはプレ公演から継続の矢内原美邦。演劇の倉品淳子、美術の藤浩志は野村の推薦により担当することとなった。
ワークショップは149回、
えずこでは奇跡が起きている
公演に向けたワークショップは7月から開始された。そして9月までの3ヵ月、音楽、演劇、ダンスのみならずさまざまなジャンルのアーティストが入れ替わりで来館し、参加者の頭と体と気持をほぐしながら、作品の素材探し、アイディア出しを継続的に行った。
そして10月からは公演に向けた稽古が始まった。4幕構成で、それぞれの幕の作劇・演出を、倉品淳子、柏木陽、わたなべなおこ、明神慈の4人が担当。作曲は、野村誠、片岡祐介、尾引浩志が担当。参加者は自らの希望でどの幕に参加するかを選択し、それをアーティストが調整する形で具体的に構成されていった。
また、作劇・作曲それぞれの作業は平行して進められ、ばらばらに出来上がった作品を、最終的に野村誠、倉品淳子、矢内原美邦の3人が、総合演出という形で再構成し仕上げるというユニークな作り方で進められることとなった。
作品の素材は、すべてワークショップをとおして参加者から出たものである。それをアーティストが仕上げ、仕上げたものを参加者が演じるというやり方である。そこには参加者とアーティストとのたくさんの意見と気持のやり取りがあり、素材の一つ一つが参加者一人一人に深く沁み込んでいく濃密な時間の流れがあった。
ワークショップの回数は、当初の予定を大幅に上回り8ヵ月で149回に及んだ。
11月からはほぼ毎日のようにワークショップが開かれ、多いときには3つのワークショップが同時に開催された。野村はそれを評して「こんなこと日本全国どこに行ってもあり得ない。今、えずこでは奇跡が起きている」と言った。また、講師で訪れたアーティストたちは「こんな濃密なプログラムは見たことがない」「大学に行くよりも、えずこホールでワークショップを受けたほうがずっといい」と、異口同音に驚きの言葉を並べた。
12月に入り美術担当の藤浩志と住民スタッフのミーティングがあった。ブレスト的なアイディア出しの中で、十周年→十年(てんねん)→温泉→音泉という駄洒落の連鎖からイメージが噴出。タイトルが「十年音泉(てんねんおんせん)」に決定。
舞台美術と広報用のヴィジュアルイメージも一気に膨らみ、温泉絵画の緞帳、温泉マークの暖簾、温泉タオル、会場を湯気に見立てたスモークで包む演出、と遊び心に溢れた演出が次から次へと提案された。
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